小説のあらすじをイメージして膨らませるテクニック~イマジネーションはストーリーを育む~

小説を書き始める前に

プロットを作成する前に、いきなりあらすじを紙やパソコン上の小説ツールに書き出して始めても、実はなかなか進むものではありません。物語の骨格を構成していく作業では、都度つぎ足しながらパソコンの前に座って断続的に組み立てるよりも、物語を自然に進行させていく方法があります。

そのあとに少しずつ文章の肉付け、装飾をしていくプロットへの作成に進んでいきますが、ここではあらすじを円滑に組み立てるための方法とその流れに触れていきます。

 

あらすじの構成のしかた

どんな内容の小説を書くのかテーマ、方向性が決まったら、心を落ちつけて、物語に登場する人物、場面などをイメージする作業をしていきます。

登場人物をかたちづくる

いきなり自力で人を描いてかたちづくるよりも、物語に登場する人物をイメージしやすくしていくために、ここでインターネットを活用します。日頃、いろいろな人物をネットで目にすると思いますが、登場させたいと思った人物を収集し、その写真やイラストを短編で10名、中編で15名、長編で20名以上厳選してください。

芸能人や俳優だけではなくても、著名人、各業界人などでも構いません。男女の比率も男性を若干多くするくらいで、極端なアンバランスな比率にならないようにしましょう。世の中には多様な人がいますので、登場させたいと思った人物を選び、人間性を付加させるイマジネーションをしていくと、具体的な物語をイメージしやすくなります。

ただし、その人たちの写真をむやみに公開することは絶対にしないでください。当事者に断りもなくネットに新たに公開することは肖像権の侵害に当たります。あとからトラブルへの発展とならないよう十分に気を付け、自分のイメージを湧かせるための作業の一部として留めておいてください。

収集した写真は印刷してもいいですし、スマホ上に一時的に保存しておいても結構です。

●登場人物にしてみたい顔写真を準備する 人物A、人物B、人物C……

この段階で、この中のどの人がどんな行動を取り、どう話を展開させていくのかは、紙のうえで想像させるようなことはしません。

眺めて脳内に焼き付ける

印刷や保存をした写真は、時間のある限り眺めるようにしてください。写真を見ているうちにそれぞれの人物が記憶に残るようになります。ここでの目的は各人物を脳内に焼き付けていくことですので、頭の中で自然に記憶できるように意識しておいてください。

自由にイマジネーションしていく

頭の中で恒常的に各人物が自由に浮かぶようになると、これらの人物はこのあとどうなっていくのでしょうか。彼らは放っておいても、あなたの顕在意識とは別にさまざまな動きをとっていくようになります。ただし、潜在意識だけに頼るだけでは不十分ですので、意識的にイマジネーションを加えるようにしてみてください。

本来の豊かな拡がりをみせるイマジネーションを時間で終らせてしまったり、制限するようなことはしないようにしてください。アイデアの創造を仕事とする作家として、イマジネーションを遺憾なく膨らませましょう。

 

あらすじはイマジネーションを積み重ねてつなぐ

イマジネーションをしていくと、潜在意識上で作家の意識とは別に、各人物は思いもよらない行動を起こしながら物語は進展していきます。不鮮明な箇所は作家が意識してイメージをめぐらしながら、物語をつなげていきます。しばらくはその展開を見守ってください。あわてる必要はありません。ここは充分な時間をかけていくことで、イマジネーションは徐々に様々な展開へと熟成しながら進展していくはずです。

おそらく、二、三日程度ではこの作業を完結することはないはずです。物語は行き詰まりもありながらも、またどんどんと展開していきます。結びにたどり着く時間は一概ではありませんが、人によって二週間から一か月くらいとみておいたほうがよいでしょう。

時々、はじめに設定した人物がイマジネーションによってうまく行動ができず、ストーリーのなかで馴染んでこないことがあります。放っておくと、物語は意としない方向へどんどん進展してしまいます。それはつまり、あなたのイマジネーションとの相性が良くない人物が設定されてしまったからです。そのような人物はリストから削除し、新たな人物の写真と入れ替え、またイマジネーションを進めていくようにしてください。

できるだけイマジネーションを思いのままに働かせて、多彩なストーリーの流れをイメージしていくようにしましょう。まだ細かな設定をする前ですから、話が自然に流れていくこと、要所要所で誰がどんな行動を起こし、何が起こったかの積み重ねができていれば問題はありません。途中で断念をせずに、話の終わるところまで作業を続けてください。物語は必ず完結させましょう。

【例】恋愛小説(短編) タイトル『循環する恋』

心理カウンセラーのA ある日、相談者Bが訪れ、自分の悩みを打ち明ける ➡ 中学生時代のある男性のことがいつまでたっても忘れることができない。今から本人を捜すのは難しいが、心のモヤモヤを拭い早く心を落ちつけたい ➡ 名前を聞き、当時の話を聞いていくと、どうも自分の大学での親友(人物C)がその当事者であることに気が付いた ➡ AはCに久しぶりに会い、詳細を話す

CはBのことは記憶にあったが、妻子もあり現実は難しいことを告げる ➡ Cの妻Ⅾは話の流れからBの知り合いであることが発覚 ➡ Aは心理カウンセラーという立場からの精神を安定させるために助言はしたが、事実を伝えるかどうかは迷っている

Aは相談者Bのもとへ訪れ、現実の実態を正直に伝える ➡ Bは現実を知り、絶望を味わい、過去を忘れる意味でしばらく見知らぬ町で身をひそめる決心をする ➡ Bは旅先で偶然にもⅮにふられた農場経営者Eに知り合い、深い仲に発展する ➡ Bの行動はAにアドバイスされた結果のことだった ➡ Aの心理カウンセラーが噂が噂を呼び恋愛カウンセラーの第一人者としてこれからも活躍する

(この流れをAが一人称で語る形式にする)

イマジネーションが話の最後まで終わったら、上記のように断片をつなぎ合わせ、物語の流れの骨格をまとめて文章にします。話の最後まで、あらすじが完成したら、この先のプロット作成で更に細かい行動や場面の設定について文章の肉付けを行いますので、それまで、違和感や不自然なところがをこの段階で修正を重ねておいてください。

半蔵
半蔵

この作業は潜在意識によって、話がいろいろな展開に自然に流れていきます。自分の創造したい物語が登場人物の行動、場面に違和感や不自然な状況が生じないように、顕在意識によって、意識的に調整をしながらイマジネーションを進めるようにしています。

 

 

 

ノートに人物の名前、性格、相関関係などを示しておく

主人公、友人、仕事の同僚、近所に住む人、その他の関係者による、一連の行動の流れができましたので、ノートに次のことについて、細かく整理していきましょう。

●主人公と各登場人物の整理、相関関係

●各登場人物の名前、職業、身なり、性格

●物語が展開していく場所、風景

●序盤の設定と終盤の流れの整理・調整

●主人公の幸せ、悦び、挫折・絶望感、危機などのピックアップ

一番最後に挙げたポイントは、ストーリー全体にわたる主人公の感情の浮き沈みによって、読者に衝動や感情を与える大事な設定になります。主人公が困難にぶち当たり、それを頭を悩ましながら解決していく物語の山場に当たる部分の導入、タイミングを考えておきます。

平坦な内容ですと、読者の関心を惹くことはなく、読まれない原因になりますので、現時点で明確でなくても構いませんので、イメージしたものを準備しておきましょう。

 

AIを活用することについて

近年は小説を書く場合においてもAIを参考にして、多少の割合で本文に組み込む小説家も出てきました。ChatGPTへ質問をして、その回答を採用することは、まったくノーであるとは言えません。我々の未知の分野に対する情報を知る場合にはとても有効ですし、参考になるのは事実です。

かと言って、すべてAIに任せた内容のものを自分の小説だと称するのも、自分の創作としてどうなのかという問題にもなってきます。ChatGPTを利用する場合には、ごく一部に引用するような活用をしていきましょう。独自性、専門性を重要視するためにも、限定して使用するようにしてください。

AIの活用のしかたにはいろいろな工夫によってよい効果が得られますので、別の機会にもまたお話をしていきます。

半蔵
半蔵

ほとんど、自分でアイデアを出して書いていく性分なのですが、2,3千文字くらいの短編を書く時に想定していたタイトルで、ChatGPTへ質問し、できあがった小説を参考にすることはよくあります。

 

また、ごく一部分にアイデアがうまく思い浮かばずにはめ込みができなかった場合は、ChatGPTに助けを借りることがあります。ただし、機械的に造られた文章ですから、味わいに欠けたりすることがありますので、文脈は変えずに表現を自分の言葉に置き換えて活用するようにしています。

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