プロットの作成前に押さえておくべき重要なポイント~物語の方向性をイメージする集大成~

物語の方向性をイメージする

プロットを作成する前に、小説全体の方向性や土台をしっかりと考えることは重要です。以下のポイントを押さえておくと、執筆はスムーズに進み、ストーリー全体の完成度は向上します。小説のプロット作成前に考慮すべき重要なポイントを具体的にみていきましょう。

小説のプロット作成前に必須のチェックポイント

テーマの明確化

小説全体を通して伝えたい核心的なメッセージを設定し、物語の軸がぶれないようにします。テーマを決めて書き進めていくと物語の軸がぶれにくくなり、キャラクター自身やプロットそのものにメッセージを補強させて展開することができます。登場人物の目的や行動が一貫しているかを意識して、物語のテーマを見失わないようにすることが必要です。

• 主人公を取り巻く愛と犠牲の意味を描く
• 社会の不条理を風刺する
• 自己成長とアイデンティティの追求

ただし、次の点に考慮する必要がありますので、注意してください。

• 物語を通して、読者にどんな感情や気づきを与えたいのかを意識する
• 物語を通して、自分がそのテーマにどれだけ情熱を持っているかを読者に伝える

ジャンル選び

ミステリー、ファンタジー、恋愛、SFなど、選んだジャンルに応じた設定や構造を考えます。

どのジャンルが自分の思うテーマを最も効果的に伝えるのに適しているか
• ジャンルの基本的な「お約束」(トロープ:個別的性質)をどの程度活用するか

そのジャンルの性質を醸し出す素材を見つけ出して、オリジナルな展開に運び込むテクニックを養うことです。具体的には次のような事例が挙げられます。

• ミステリーなら、謎解きの過程や伏線の配置を重視する
• ファンタジーなら、独自の世界観や魔法のシステムを設計する

主人公の設定

主人公の目標や内面的な葛藤を明確にし、リアルで共感できるキャラクターを描きます。

• 主人公の目標や動機は何か?(例:復讐、愛、自己実現)
• 主人公の内面的な欠点や葛藤は?(例:過去のトラウマ、自信のなさ)
• 主人公の背景(年齢、職業、性格、環境)はどのようなものか?

次の例のように、主人公がリアルに表現できていて共感できる存在であれば、読者を物語に引き込む力が強まるでしょう。

•「大切な人を失った悲しみを乗り越えるために成長する若者」
•「謎の組織に追われながら、真実を追い求める科学者」
半蔵
半蔵

主人公や登場人物を描くときには、身なりや顔立ち、背格好、境遇のみにとどまらず、内面の感情、クセ、行動などを具体的に表現するようにしています。外見だけでなく、性格やより深い人間性を掘り下げて表現することで、小説の出来事に本当のおもしろさや深い味わいが生まれると考えています。

ターゲット読者の想定

読者に応じた文体やストーリーの方向性を決めます。

• 若い成人向け(ヤングアダルト)なら、青春や成長に関するテーマや現代的な口語表現を使う
• 中高年向けなら、重厚なテーマや人生経験に基づくストーリーを選ぶ

常に読者側の立場を視野に、次の点を意識するようにしてください。

読者層が興味を持つトピックやテーマは何か
読者層に応じた文体や語彙はどうあるべきか

文体や語り口の選択

文体とは文章のスタイルのことです。

•文章の様式。 口語体・文語体・和文体・漢文体・書簡体・論文体など
•その著者にみられる特有な文章表現上の特色

また、語り口では一人称や三人称など、どの視点で物語を進めるかを決めます。語り口(誰の視点で進めるか)は、読者の体験に大きな影響を与えます。物語を構成する前に効果的な語り口を決めておくようにしてください。

• 一人称、三人称などの視点をどう使うか
• 複数視点を使う場合、その切り替えのタイミング

各視点での特質を理解し、それらを十分に活かして作品の効果として反映させていくことが読者に読まれる結果につながります。

• 一人称:主人公の内面に深く入り込む
• 三人称全知視点:物語全体を広い視野で描く

形式・構成の理解

三幕構成や世界観の構築など、物語の基本的な構成要素を押さえましょう。

三幕構成の理解

物語の基本構成である第一幕(条件設定)、第二幕(対立・葛藤)、第三幕(解決)の流れを意識するようにしましょう。さらに構想上で起承転結などの形式に発展させたり、必要な要素を配置・肉付けをしながら複合的な構成にしていくこともできます。

世界観の構築

特にファンタジーやSFなどでは、物語が展開される世界観を詳細に作り込むことが求められます。現実の世界が舞台であっても、時代背景、舞台設定、そして文化的な要素をしっかり考慮して、なるべく具体的な世界を創り上げましょう。

• 時代背景や地理的条件
• その世界での独自のルール(例:魔法の仕組み、未来の技術革新)
• 社会や文化(例:宗教、価値観、政治)

未来志向や科学技術の発展、また人の目をくらませて、実際には起こりえないような不思議なことをやって見せる魔術など、現在では想像に及ばないセンスを取り入れてみてください。

• 魔法が支配する中世的な世界
• AIが日常生活に溶け込んだ近未来の都市

対立構造の設計

物語の緊張感を生み出すために、主人公が直面する対立や課題を設定します。対立構造が曖昧だと、物語が平坦になりがちですので、敵や課題との明確な構造をつくりあげましょう。

• 外部の敵:悪役、自然災害、社会制度など
• 内部の葛藤:自分の信念や過去との戦い

対立することが物語の根幹となるテーマ、また発展性とに矛盾しないように、うまくリンクさせた設定にしましょう。

• 対立が物語のテーマとどう結びつくか
• 対立がどのように主人公を成長させるか

物語のゴール設定

結末をあらかじめ決めておき、ストーリー全体の流れを把握します。物語の終着点を大まかに決めておくと、途中で思いもよらぬ方向に発展してしまったり、迷走してしまうことが少なくなります。書きたいシーンや展開を思い付いたときには、事前に箇条書きで記録しておき、ストーリー全体の流れを把握しながら組み込んでいきましょう。

常に全体の流れ、山場を通じて結末が不自然にならないようにすることが重要です。次のような点に注意してください。

• 主人公が最終的にどのような変化を遂げるのか
• 解決すべき問題や謎は何か
• エンディングはハッピーエンドか、それともビターエンドか
半蔵
半蔵
物語の結末は先に考えておくと、気分的にも楽になります。最終的な話のブレはもちろん防げますし、到達地点が定まっていると、不思議とより多様な展開に持ち込め、自由な発想を持てるようになりますのでお勧めです。

技術上の効果的な手法

クライマックスや重要な出来事を頭に入れておき、プロットの作成をスムーズにします。

メインイベントのイメージを持つ

物語の中で特に重要な出来事(クライマックスや転換点)を頭の中でつかんでおいて、思い浮かべられるようにしておくと、プロット作成がしやすくなります。これらのイベントが物語全体の骨格を形成しますので、プロット作成の段階で少し肉付けをしていきます。

• 主人公が師匠との死別を経験し、独り立ちする場面
• 隠されていた真実が明らかになる瞬間

タイトルやイメージから逆算する

タイトルやイメージがすでに決まっている場合、それを基に物語を作り込む方法もあります。例えば、「蒼き炎」というタイトルを思い浮かべたなら、それに合う青春アドベンチャーのテーマや若者の思想・世界観を考えていくことになります。

まとめ

作業の流れ

まず、テーマを明確にし、適切なジャンルを選択します。これにより物語の方向性が定まります。次に、主人公の設定を詳細に行い、ターゲットの読者を想定しておきましょう。語り口や文体の選択も慎重に。

物語の構造面では、三幕構成をしっかりと理解し、そのうえで展開を考えながら世界観を構築します。対立構造では敵や困難の設計物語のゴールを決めておくと、プロットの骨格が形成されやすくなります。

技術的な手法として、メインイベントのイメージを持つことや、タイトルから逆算して物語を組み立てる方法も効果的です。

これらのポイントを押さえると、プロットの作成がスムーズになり、ストーリー全体の完成度が向上します。丁寧な下準備が、魅力的な小説を生み出すカギとなります。

ポイント

上記に示したプロット作成の前の準備は、小説の土台をしっかり固めるためにも欠かせない作業になります。テーマ、主人公、対立構造、世界観などを明確に、具体的に示すことで、プロット構築がスムーズになり、完成度の高い物語を生み出すことができます。

これらのポイントをしっかりと考えてプロットを作成することで、小説の後々の完成度は高められるでしょう。素晴らしい物語の構想ができることをお祈りしています!

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